TechとPoemeの間

Qiita に書かないエンジニア業の話

2023年のこと

例年以上に「年納め」という感覚の分からない状態だけど、なんか書かなきゃいけない気がするから書く。

どんな働き方をしてたか

2021年末から複数の企業と業務委託または契約社員として関わる働き方を始めた。2023年なので、もう2年も経ったことになる。

何をしていたか

人材開発

今年、大きく状況が変わったのは、1つの企業に大きく重心を乗せるようになったことだ。1年のトータルで見れば7割強の時間を1つの会社で過ごすことになった。主な仕事は人材開発であり、具体的には研修に盛り込む具体的な技術要素や、研修のインストラクショナルデザインをマクロ・ミクロ双方の粒度で検討したり、実際にその設計に基づいて研修で講師として喋り倒したりしていた。

この仕事に就いた去年(2022年)の半ば頃、自分には明確なロール名は与えられていなかった。それが去年の末から年明けにかけて仕事が進んでいく中で「自分のやりたいこと」と「会社に必要なこと」のすり合わせができてきたように感じる。自分は先生になりたい訳ではないし、「憧れや目標になる先輩」として振る舞うにもトレーニーとは歳が離れている。自分がやるのは、それまでのエンジニアリング・マネジメントの経験を活かした、エンジニアリング組織との橋渡しとトレーニングのクオリティ向上だ、と考えがまとまるようになった。今年の春が訪れる少し前の頃、その役割を「テクニカル・ディレクター」と勝手に呼ぶようになった。

当然のことだけど、それまで組織になかった仕事をするのは難しい。それまで「技術者としてキャリアを歩んできた人が人材開発に携わるとは、具体的に技術を1対1に近い形で教えること」以外がほとんど存在しなかった組織では、「テクニカル・ディレクター」と言われてもピンとこない人がいないわけでもなく、自分としては「ひとつずつ成果を残していくしかない」状況だった。そのことを自覚しつつ、幸いにも会話をすれば意義を感じてくれる人に恵まれた組織であることも手伝い、スムーズに仕事をさせてもらえた1年だったのではないか思う。目の前の仕事を着実にやり遂げつつ、このロールがちゃんと組織に根付いて、どこかのタイミングで誰かに後任に任せることができる(ロールについてのおおよそのイメージが湧く・組織がそのロールありきで組織を考える)ようになることが当面の目標かな、と考えている。

去年の振り返りでも「人材開発の仕事は来年どこかで話せれば」みたいなことを書いていたが叶わず。どこかでちゃんと知見としてアウトプットする機会は、来年こそ作ろう。

アジャイルコーチン

加えて、これも昨年までと同様にチームの開発プロセス確立のための支援や、チームリーダーの壁打ち相手となるための支援をしてきた。

個人的に嬉しかったのは、今年の春先で支援活動を一旦終了したクライアントから、支援したチームや事業のその後の成長について、この年末になって話を聞けたことだ。コーチングの一貫で行う支援活動に即効性がないことも多く、その活動の真っ只中には「果たして報酬に見合う貢献をしているのだろうか」と不安になることも多かった。それらが実際に実を結んだんだという実感を、タイムラグが有りながらも持てたことは大きかった。「アジャイルコーチング」と銘打って行う仕事の割合は僕の中では減らしてしまったのだけど、「こうやったら良さそう」という引き出しが増えたこともとても大きい収穫だったと思う。

この1年で思ったこと: スパンの長い仕事を頑張る

思えば2018年ごろから、ソフトウェアエンジニアが10~30人程度の企業・組織で、組織づくりやチームづくりから担う仕事にずっと携わっていた。この規模の組織を直接マネジメントしたり率いたりしていた頃は、即効性とインパクトの大きさを両立した施策を打つ余地も多かったし、出したインパクトも実感しやすかった。

それが、規模の大きい組織での仕事(100人を越える研修対象がいるトレーニング)だったり、直接自分が事業や組織を動かしているわけではないコーチングの仕事には、また違った難しさがあった。もちろん、インスタントに打てるROIの高い施策も存在しないわけではないけど、そういう施策だけを探して手当たり次第に実行しているだけではすぐに手詰まりがやってきてしまう。そんな時に「より労力がかかってインパクトが残る、重要な仕事」を見つけるのが重要なのだけど、これまでの自分は「課題自体の純粋な難しさ」だけに着目しがちだったように思う。この1年の経験で「長いタイムスパンでインパクトを残す」方向を意識して難易度を上げる引き出しが出てきたんじゃないかと思う。答え合わせまでのスパンが長いので、小さなサイクルでの仮説検証と、揺るがない信念の両面が大事になってくるんじゃないかな、きっと。ということで来年も頑張ろうと思います。


そんなところで。プライベートの話は別のメディアで。

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