2022年のこと
昨年の振り返りで書いたように、2021年10月をもって正社員として働いていた会社を退職して以降、半独立した形で複数の企業と関わる1ようになった。
結局は2022年もこの形式のままフルで過ごした。既に関わらなくなった企業を含めると今年1年で5社と関わったことになった。もちろん自分にできる貢献を各社にしつつ、様々な学びをさせてもらい続けた日々だった。求めてくださった皆様に感謝の限り。
「アジャイル・コーチング」と言う恥ずかしさが消えたのは
一番多かった仕事は開発プロセスやチーム運営に関する支援だ。スクラムの実務経験がないメンバーでチームを組成している状況で手本を示したり、チームリーダーの壁打ち相手になるような仕事である。これまで自分自身が経験してきたことを踏まえつつ、クライアントの「外側」にいる立場だからこそ「こういう事もできるけど、あなたはどうしたいの?」と問うことで、クライアントにも自分にも様々な発見があった。
当初は自分の仕事を「アジャイル・コーチング」と呼ぶことにどこか恥ずかしさがあった。日本国内を見ても、アジャイル・コーチというキーワードで出てくる顔ぶれが錚々たるもので、自分がその人々に肩を並べて同じ働きをできるのか?と思ってしまったのだ。自分がやっている仕事は所詮 "自称: アジャイル・コーチ" でしかないのでは?とも思っていた。
この気持ちを拭うきっかけになってくれたのが、これまでも何度か自分のキャリアの転換点を作ってくれた横道稔さん (id:ykmc) だった。今年の前半のどこかで彼とお話しさせてもらったとき、
誰だってきっと最初は "自称" だったんだよ
という言葉をもらって重荷が取れたように思う。確かに、認定資格があるわけでも、誰かが自分の "アジャイルコーチング" を評論したり点数をつけるするわけでもない。目の前のクライアントに向き合うこと以外の邪念の多くを捨てることが出来たような気がしている。感謝しかない。
「教育」と言うのはおこがましいけれども
アジャイルコーチングの他に、"ITプロフェッショナルの卵" を対象にした研修にも関わるようになった。自分が新卒で入社した会社を退職するまでの4年半の間には、内定者研修を手伝ったり、新人を現場で指導するメンターとして働くこともあった。その頃から「もっとこうすればよい新人が育つのに」と思うことも多かった。その当時の思いも胸にしつつ、これまでにないバランス感覚の求められる仕事をさせてもらっている。
実際に研修の企画や実施を行うとなると、想像した以上に変数が多い難しさを感じる。社会人生活を初めて3〜4年目の青かった頃の自分がそのまま新人教育に関わってたら大変なことになっていただろうなぁとさえ思う。エンジニアリングマネージャーとして働いたり、様々なフェーズの会社に身を置いてきた自分だからこそ出せる成果やできる貢献がある、と思って仕事をしている。
来年は研修周りの話もどこかでパブリックにできれば良いと思っている。
翻訳レビューとか翻訳とか
仕事外のことでいえば、書籍『ソフトウェアアーキテクチャ・ハードパーツ』の翻訳レビューに関わったことも新鮮だった。
翻訳レビューに参加した『ソフトウェアアーキテクチャ・ハードパーツ』の献本が届きました!ほんの少しですが初めて書籍制作に関わらせて頂いて様々な学びがありました。過去の職場で悩んだことをおさらいになったり発見があったり、読書としても最高の体験でした。 @snoozer05 さんお疲れ様でした! pic.twitter.com/RxOy87VUai
— むらみん (@Mura_Mi) 2022年10月21日
内容もさることながら、その編集プロセスを見ることが出来たのが個人的に大きな経験だった。CSS組版などの概念は知っていたけれども、実際にそれがワークしているプロジェクトを見たのは初めてだったからだ。
普段の自分の生業であるシステム開発では当たり前のように継続的インテグレーション (CI) や継続的デリバリー (CD) を実践していたし、それがない世界を考えたことが殆どなかった。一方で自分の中ではこれまで「書物」や「ドキュメント」を CI と紐付けたことがなかったので、この経験を通じて CI が存在する意義や生産性の圧倒的な向上を再認識したように思う。この学びは本業にもフィードバックすることが出来て、研修コンテンツの制作には Vivliostyle — Enjoy CSS Typesetting! を活用して、 textlint や markdownlint を組み込むと言った鉄板構成に取り組むようになった。
また、InnerSource Commons JP コミュニティに関わることになり、そこでも英語コンテンツの翻訳に関わるようになった。インナーソースの話は個人的に大きな関心を持っているんだけど、どうしても仕事と絡んだ話になるので、また別の機会にじっくり話したいと思う。
innersourcecommons.connpass.com
総括とか来年とか
そんな感じで、2022年はこれまでにない経験をたくさんできて、これまでの職業人生活とは違った充実を感じ、大きな進歩を実感することとなった年であった。この記事では言及してないけど、私生活でも息子が産まれて2年が経ち、今年も未知の世界を息子に見せてもらい続けた。
一方で、ストレスゆえか身体に出るような不調があったのも事実で、ハイテンションで駆け回って知らぬうちにダメージを負ってたのかなというのもある。公私それぞれ思い当たる節がないわけでもないので、自分なりにストレスを受け流したり忘れたり遠ざけたりしながら、来年もいい感じで生きていこうと思う。