Regional Scrum Gathering Tokyo 2018 に参加してきた.
昨年から会社のお金で行かせてもらえているのだけれども,去年は色々とわけがあって1日目のみの参加だった.今年は,初日の説明から3日目の Closing Keynote までもれなく参加できた.嬉しい.
聴いたトークを順々に振り返る.
Build a Workplace People Love – Just add Joy (Rich Sheridan)
書籍『Joy, Inc.』の著者による基調講演
この本読んだこと無かったんだけど,メンローベイビーズの取り組みを聞いたときにはあまりに想像の向こう側を行き過ぎていて,即売会で書籍を購入し,それから行き帰りの電車とかでめっちゃ読んでいる.トークの内容は,ほとんど書籍の内容を実際の写真などを交えての紹介でした.
即売会はサイン会付きでした! 本当は僕の最良の読書時間である風呂の時間にガンガン読んでいきたいのだが,Rich 本人だけでなく,翻訳者5人全員のサインまで入った書籍は,流石に水没のリスクには晒せず…
Cultural context is everything (Matteo Carella)
Agile の取り組みは,どのようなドメインかだけでなく,そのチームの文化や文脈に依存するから,具体的なやり方だけを真似してもうまくいかないよ,という話.事例紹介は,その背後にある原則や価値観を知るためでしかないよ,というのは本当にそうだなと思う.
で,文化は "Intangible" つまり形にはならないから触れられないけれども,"Ritual" つまり儀式としてその文化の一員になる手筈を整えることで,少し Tangible になるよ,という話は面白かった.
サーバント・リーダーシップを掘り下げて考えましょう (Rochelle Kopp)
日本の会社の生産性を上げるための経営コンサルタントをしているロッチェルさんは,今年の活動のテーマをサーバント・リーダーシップに置くとのこと.
チームを主役にするサーバントリーダーこそ,コーチングのスキルって大事なんだろうなぁ,とか思った.
6 Years Of Teaching Certified Scrum Developers: Re-spec, Re-design & Re-entry (Terry Yin)
Odd-e での認定スクラム開発者研修 (CSD) のトレーナーである Terry によるセッション
CSD 研修では,前の回の研修で参加者が取り組んだプロダクトに,新たに機能を追加する開発をするんだって!(すごい
ソフトウェア開発は「知識を」「創出し」「保存する」という3つが大事,ということを5日間かけて教えるのが CSD の研修とのこと.この3つの重要性は考えてみれば当然ではあるのだけど,端的に言えている言葉だなぁ.どういう人が CSD 研修に参加しているのか,ちょっと気になった.
Walking Scrum History with Patterns (Kiro Harada)
あんまり原田さんの良い写真が無かった…
スクラムがどのように生まれたかという話を,パターンランゲージという観点から振り返るという話.ScrumPLoP 知らなかった
Embrace Collaboration and Fun of Coding (Michimune Kohno)
アメリカの開発チームに参加することで感じた文化の変化,アジャイルへの転換などの話.
お仕事がとても楽しそうなお話ぶりで素敵だった.いちいち刺さる言葉ばかりだったけれども,写真にある「Agile 開発とはバックログと共に生きることと見つけたり」は,素晴らしい言葉だなと思った.バックログがなくなったときはプロダクトの終わりだし,バックログが積み上がっているということは,プロダクトはまだ成長する可能性があるということ.これから積極的に使っていきたい.
Scrumが難しいのは幻想 -情熱の再定義- (kyon_mm)
とても楽しみにしていた id:kyon_mm さんの発表
(スクラム | アジャイル) をやるには情熱が必要,という,人のメンタルに頼っている状態を良しとしない,それを突き詰めたら「情熱はシステムと同じ」という結論に至った,という話.1時間スプリント,今の自分が出来るとはまったく思えないけど,なんか割りと簡単にできるように思えちゃうようなお話ぶりだったのが不思議だった.
全くレベルは違うと思うけれど,「システム開発も開発プロセスの策定も,フロー単位とリソースの最適配置の問題という意味では同じ」ということを考えていた自分にとっては,進んでいく方向は間違ってないんだなぁと思うことが出来た.
スクラムチームとして、妨害リスト(Impediments List) を運用して見えてきた課題解決方法 (Narichika Kajiwara)
eureka の梶原さんによる,Impediments List の話
妨害リストはスクラムガイドにも出てこないし,運用事例もあまり聞いたことがなかったので,とても貴重なお話でした.
「レトロスペクティブをシングルループ学習と捉えて,妨害リストはダブルループ学習と捉える」とか,「チーム外も含めた透明性の担保が大事」とか,「やってみるとうまくいきそう!」という話が満載でした.
モヤモヤ女子大生がプロダクトオーナーになったら!
Odd-e Japan の実施したインターンで3ヶ月のプロダクト開発をした中で,プロダクトオーナー (P.O.) ロールを担った5人の女子大生の物語.
スクラムマスターのロールを努めた知花さんの力量の賜物でもあるのかもしれないけど, P.O. を努めた女子大生は誰もプログラミングなどのバックグラウンドを持たず,その中でこれだけ出来たよ,という事例はもっと色んな場所で広まってほしい.
実感駆動でものづくり ー 協調学習過程としてのスクラム。欲しいものを、どうやって知るか。 (パネルディスカッション)
企業内での新規事業立ち上げを行う中でのカネと (社内) 政治の問題にどう立ち向かうかという話題.
黒田さん (id:i2key) の「資金調達のタイミングもアジャイルにならなければいけない」という話が非常に興味深かった.あとは「グレーゾーン わざわざ聞くから 黒になる」最高の標語w
山崎さんいわく,コクヨには2つの標語があるそうな.これもとても良かった.
- ギブギブギブテ (Give と Take の比率は圧倒的に Give が多くないといけないということ)
- 角を立てずに波風立てる
Open Space Technorogy : 「UI の無いプロダクトのスプリントレビューをどうやるか」
Open Space Technorogy は,ちょっと勇気を出してテーマを出してみた.広告配信システムを作っている中で,UI より先に入札配信システムを作っていたりしたので,その時の悩みをぶつけてみることに.
喋りながらだったからあまりイーゼルパッドには書けてないのだけど…
思った以上に人が来てくれて,30分ワイワイと議論できました.最初数人だったから自己紹介回してたけど,あれよあれよと人が増えたから途中で中断せざるを得なかったw
API を作っている人とか,スプリントレビューにどのステークホルダーを呼ぶのかを気をつければ良さそうだよね,みたいな話とかしていた中,
原田さんが「551 メソッドを使えばいいんだよ」と一言.
プロダクトバックログに「あるとき/ないとき」を書けば,そのプロダクトバックログの価値がわかる.そうすれば,UI がなくても何を作ってどれくらい価値が生まれたかがわかる.
なんだ!端的でめっちゃわかりやすい!とかなってました.
あなたの中に世界がある / You are the World (Akiko Iwakiri)
翔泳社の岩切さんによるクロージングキーノート.
大義は自分の中にある,それを (仕事を通じて) 満たすことできっと自分や世界が変わる. 今風に言うと最高にエモくて,3日間を締めくくるのに最高のセッションでした.Agile2017 のクロージングキーノート "Banish Your Inner Critic 2.0" もめっちゃエモかったんですけど,やっぱりこういうの狙うんですかね.
自分の大義を付箋に書く,というアクティビティがあったのですが,私はこう書きました.
なんというか,最近,今後のこととか,周りのこととか,いろいろ考えますけど,その悩みとか迷いとか思い切りを反芻すると,割とすんなりと出てくる言葉でした.今年はちょっと "大義" を意識してみよう.
ということで,3日間本当に楽しかったです!長い間準備を頑張ってくださった実行委員会とスピーカーの皆さまに感謝!
来年またお会いしましょう!