行ってきた.個人的に2週連続のカンファレンス参加.
聴講したセッションについて.
基調対談: ワークスタイル改革を実践する2人が働き方の本質を語る
まずは,サイボウズの青野さんとソニックガーデンの倉貫さんの働き方改革についての話.
ウォーターフォールの何が辛いか,それぞれの会社のアジャイル文化の話,DevOps 化,有給や昇給や経費の管理,キャリアに対する考え方などの幅広い話題について.アジャイルの考え方は,本当の「働き方改革」とすごい親和性があるなぁという,非常に面白い話だった.
ひたすら Twitter で実況していたのだけど,一番個人的に面白いなと思ったのは,ソニックガーデンの「YWT」の話.
倉貫「YWT やったこと,わかったこと,次にやることを面談する.#xpjug #xp祭り
— むらみん (@Mura_Mi) 2017年9月16日
倉貫「YWT を続けるとみんなか従業員が考えるようになる.社会人になるまでは進路相談という形で自分の人生を考える節目があったが,社会人はその進路相談がなくなる.ソニックガーデンでは YWT を進路相談と呼んでいる」#xpjug #xp祭り
— むらみん (@Mura_Mi) 2017年9月16日
倉貫「YWT を続けると,若いことベテランで内容が変わってくる.若い子のYはきらきらしたこと.ベテランは「自分には向いてないとわかった」みたいな話になる.でも普通の会社で,できなかったとを話したらダメ.#xpjug #xp祭り
— むらみん (@Mura_Mi) 2017年9月16日
YWT進路相談の続き
— むらみん (@Mura_Mi) 2017年9月16日
倉貫「ベテランは,できないことをわかったと言えるし,それを理解した上で,自分の得意なところに強くコミットするようになる.歳とったら弱みを見せる,全部やらない」#xpjug #xp祭り
実況ツイートで拾えていない部分もあるので補足を.
キャリア面談として定期的に話す内容を YWT というフレームワークに沿って挙げているということなんだけど,
そこで「これは自分に向いていないことがわかった」とか「すごいしょぼいとわかった」みたいな話を人事考課のような文脈で出してしまうと絶対マイナス評定になるんだけど,
でもソニックガーデンでは個人の人事評価もないので,そこを正直に話せるし,ベテランになると「じゃぁ自分はこれを頑張る」というのをしっかり持てるので良い,という話で非常に興味深かった.
DevOps 時代のプロジェクトマネジメントを考えよう
登壇する内容で「壮大な三部作」という構成を作れるってすごいですよね.
大きい SI の企業の中でピラミッド型チームをフラットなチームにする途中の段階として,ピラミッドの最下層に球拾いを出来るリーダーシップを設けるっていうのは斬新というか,良い過渡期の設け方だなと思った.
色んな要素で「大構築時代」と「DevOps時代」を対比している点は非常に整理されていて腑に落ちるセッションでした.
全ては Fearless Change から学んだ,開発組織の変革を支えた実践的アプローチ
初めて @kakakakakku さんこと よっしー さんのセッションを聴講したのですが,25分という短い時間にこれでもかと詰め込んだ内容で,本当にエネルギーの溢れる方でした.
「達人」のサポートを得ることでチームのポテンシャルというか能力を限界突破させるというアプローチはとても効率良いな,と思ったし,せっかく幅広い達人を抱える会社なのだから活用できるようにならないとな,と思った.
xUTP から学ぶ記述性の高いユニットテスト
Agile2017 @ Orlando でもお見かけした高橋陽太郎さんのセッション.
given-when-then などの構造を紹介しながら,メンテナビリティの高いテストコードを書く技術について.
個人的には,一番最初のスライドに出てきた,メンテナンスコストと享受するメリットのグラフが良かったですね.
ScalaTest のこういう事例とかセオリーを誰か出してくれないかなぁ.
シンプルデザインについて
『Real World HTTP』の著者である渋川よしきさんの公演は,XP の 1st edition で原則の中にあった「シンプルデザイン」について.
スライド見当たらないようですが.
シンプルデザインは,ユーザーや開発者や出資者などのそれぞれの視点で,同じデザインでもシンプルかどうかは違うので,そのトレードオフをしっかり選択することや,シンプルなデザインを表すパターン・ランゲージを考えている,という話.
パターンというと GoF のデザインパターンをみんな真っ先に思い浮かべるけれど,パタン・ランゲージはそれを組み合わせて会話をしなければいけないので,そういう意味では逆演算をたくさん紹介している『リファクタリング』のカタログのほうがパタン・ランゲージとしては完成度が高い,という渋川さんの考えが非常に興味深かった.
リソース効率性とフロー効率性について
www.slideshare.net
個人的には今回のベストトークでした.ここまでプロダクト開発の「効率」って突き詰めて整理できるんだ,という目からうろこ.
持てるリソースの稼働率を 100% に近づけるリソース効率性と,機能や価値が提供されるまでのリードタイムを最短にするフロー効率性はトレードオフではなく,どちらも両立できること,その状態に持っていくためにはまずフローの効率性を高めてからリソースの効率性を高めましょう,という話.
詳細は触れられていなかったけど,高橋さんがフロー効率性を担保しようとしたつもりがリソース効率性を高めようとしてしまったという話が非常に興味深かった.そのために,リソース効率性を高めなければならなくなるような制約 (例えばタイトな納期とか) をいかに,交渉だけでなく技術的なアプローチも使いながらコントロールするかが大事.
チームをワークさせるために最も大事なコミュニケーション意識していますか?
www.slideshare.net
職場のプロダクト外活動でなにかとお世話になっている吉田浩一さんのセッション.
普段から組織内コミュニケーションとかリーダーシップとかについてはめちゃめちゃよく話しているんですけど,そのときによく話題に上がる問題意識とかに溢れたトークでした.
特に「自分がいなくなっても回るような自立 / 自律的なチームを目指す」という点は,自分もよく意識していますが,このスライドにあったような権限委譲の段階みたいなのを強く意識するのは大事ですよね.
おまけ & まとめ
感謝! #xpjug #xp祭り pic.twitter.com/JGb4HXS7JT
— むらみん (@Mura_Mi) 2017年9月16日
初参加ということで,協賛出版社からの見本書籍をいただきました.ありがとうございます!
来年はぜひとも,小さい枠でも登壇したいな!